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【西澤廣義の肉声】62010年02月20日 20時15分42秒

斎藤正久「台南航空隊三万マイルの激闘記録」(秋本実編『零戦の栄光』光人社)

『夜、私がデッキにもたれていると、そばへ近よってくるものがいる。みると西沢広義一飛曹だ。ニヤニヤ笑いながら、
「司令、ラバウルではありがとうございました」
という。ハテなんのことだろうと思っていると、
「ヘヘヘッ・・・・・・テーブルの上のあれですよ」
といって、さかんに二本の指を口に当てて、あるカッコウをする。どうやら煙草のことらしい。頭をかきながら彼が白状するのを聞いて、私はハタと思い当たった。ラバウルの指揮所で、ちょいちょい煙草が少なくなっていることがあったからだ』

ラバウルの台南空は激闘の末、疲弊しきってしまったので、17年11月、いったん内地に帰還することになりました(251空と改称)。

その、ラバウルから内地への輸送船でのできごとです。

ちょっと前にも書きましたね、この司令の煙草ギンバイのこと。
西澤さんはニコチンが切れて、どうにも我慢できなくなったすえに司令の煙草を失敬したのではありません。
「あえて昼日中から司令の煙草を狙ったのは、きっと戦闘機乗りとして肝を練るための修行の一環だったに違いない」
とママは結論づけました。
たぶん、みなさんも同意見だと思います、ハイ。

ちなみに先任搭乗員の坂井さんは、純情可憐な笹井中尉の行動パターンを巧みに読んで、大量の士官用煙草を入手しました(カナカたばこ事件)。
この一件にもどうやら西澤さんが噛んでいたようフシがありますが、どちらかというと、心理作戦で煙草を入手するこのやり方より、白昼堂々、飛行場の指揮所で司令の煙草を狙う、という肝試し的入手方法の方が西澤さんぽくていいような気がします。



冒頭の斎藤司令の回想の中で、わたしが特に注目した”西澤さんの様子”は、「ニヤニヤ笑いながら」と「ヘヘヘッ・・・・」です。
ニヤニヤ笑いながら司令に接近し、「ヘヘヘッ・・・・」と司令に笑いかける西澤さん。

あまりにも「らしく」て、ニヤニヤしながらヘヘヘッと笑っている西澤さんが、3D映像で目の前に現れそうな錯覚を感じました。
喫煙中の西澤上飛曹

斎藤司令が、戦後十数年経って思い出す西澤さんの姿は、日々出撃を繰り返し、数々の戦果をあげてきた西澤さんではなく、「たばこ、ありがとうございました」とニヤニヤヘヘヘッ・・・・と頭を掻いていた西澤さんだったのだろうなあ・・・・。

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