回天戦用意! ― 2008年11月06日 13時16分56秒

5月1日の夕方、あまりに会敵しないのでいったん退いていた伊47潜は、再び米艦船の補給路に戻ってきました。
浮上して1時間ほど経った時、突然敵を発見します。
「魚雷戦用意!」
の命令が下りました。
夜間には、よほどのことがない限り回天戦はやらないと言われていたので、回天搭乗員たちはいちおうの準備をしながら魚雷戦を見守るだけにとどまりました。
このときは魚雷3本が命中したとのことです。
そして、翌2日朝。
0930、敵艦船の気配を察知したのか「総員配置」の号令がかかります。
「いよいよだな」
横田兵曹は、潜水艦の乗組員たちにりっぱな最期をみせたい、と思ったそうです。
悠々と落ち着き払って、鉢巻をしめ直し、冗談のひとつも飛ばして、堂々たる態度で乗艇しよう―。
『「隊長! はじまりそうですね」
「ようし、いっちょうやるか」
ニタッと白い歯を見せて笑う柿崎中尉のそばでは、前田中尉が、さあ、いつでもこい、といった態度で、はち巻きをしめ直している。不思議にみんな落ち着き払っている。死を直前にひかえているなどとは、とても思えない。まったくふしぎだと思う。』
そのとき、いきなり、
「回天戦、用意!」
「搭乗員、乗艇!」
矢継ぎばやに号令がかかりました。
横田兵曹は一秒たりとも無駄にするかと自分の回天に駈け出して行きました。訓練のときと同じように。
ほかの搭乗員もみな同じです。
回天まですぐそこ、というラッタルをのぼりきったところで、時間が惜しいと思いながらも横田兵曹は、
「みなさん、いろいろありがとうございました。元気でゆきます。伊47潜、バンザーイ!」
と怒鳴り、下に居並ぶ乗員たちに向って無理に笑って見せておいてから、回天と潜水艦をつないでいる交通筒に滑り込んでいきました。
横田兵曹が回天に乗り込んだ後、整備員によって外からハッチを閉じられました。
そして、すぐに電話で乗艇完了を伝えます。
発進の準備も整い、あとは命令を待つだけ。
そのあと、司令塔との交信で、敵が「大型輸送船1隻、駆逐艦1隻」であることを知ります。
発進準備をしている回天は6基・・・・。
折田艦長は決断しました。
「1号艇(柿崎中尉)と4号艇(山口兵曹)を出す。他の艇は待機」
横田兵曹は、
「なにい! 3号艇は出さんのか!」
と思わず怒鳴り返してしまいました。おそらく、待機を命じられたほかの3人も同じような反応をしたことでしょう。
しかし、横田兵曹はここで押し問答をしていたら司令塔に迷惑をかけると思いとどまりました。
参考:横田寛『あゝ回天特攻隊』光人社NF文庫
浮上して1時間ほど経った時、突然敵を発見します。
「魚雷戦用意!」
の命令が下りました。
夜間には、よほどのことがない限り回天戦はやらないと言われていたので、回天搭乗員たちはいちおうの準備をしながら魚雷戦を見守るだけにとどまりました。
このときは魚雷3本が命中したとのことです。
そして、翌2日朝。
0930、敵艦船の気配を察知したのか「総員配置」の号令がかかります。
「いよいよだな」
横田兵曹は、潜水艦の乗組員たちにりっぱな最期をみせたい、と思ったそうです。
悠々と落ち着き払って、鉢巻をしめ直し、冗談のひとつも飛ばして、堂々たる態度で乗艇しよう―。
『「隊長! はじまりそうですね」
「ようし、いっちょうやるか」
ニタッと白い歯を見せて笑う柿崎中尉のそばでは、前田中尉が、さあ、いつでもこい、といった態度で、はち巻きをしめ直している。不思議にみんな落ち着き払っている。死を直前にひかえているなどとは、とても思えない。まったくふしぎだと思う。』
そのとき、いきなり、
「回天戦、用意!」
「搭乗員、乗艇!」
矢継ぎばやに号令がかかりました。
横田兵曹は一秒たりとも無駄にするかと自分の回天に駈け出して行きました。訓練のときと同じように。
ほかの搭乗員もみな同じです。
回天まですぐそこ、というラッタルをのぼりきったところで、時間が惜しいと思いながらも横田兵曹は、
「みなさん、いろいろありがとうございました。元気でゆきます。伊47潜、バンザーイ!」
と怒鳴り、下に居並ぶ乗員たちに向って無理に笑って見せておいてから、回天と潜水艦をつないでいる交通筒に滑り込んでいきました。
横田兵曹が回天に乗り込んだ後、整備員によって外からハッチを閉じられました。
そして、すぐに電話で乗艇完了を伝えます。
発進の準備も整い、あとは命令を待つだけ。
そのあと、司令塔との交信で、敵が「大型輸送船1隻、駆逐艦1隻」であることを知ります。
発進準備をしている回天は6基・・・・。
折田艦長は決断しました。
「1号艇(柿崎中尉)と4号艇(山口兵曹)を出す。他の艇は待機」
横田兵曹は、
「なにい! 3号艇は出さんのか!」
と思わず怒鳴り返してしまいました。おそらく、待機を命じられたほかの3人も同じような反応をしたことでしょう。
しかし、横田兵曹はここで押し問答をしていたら司令塔に迷惑をかけると思いとどまりました。
参考:横田寛『あゝ回天特攻隊』光人社NF文庫
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