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多々良隊壮行会2008年09月26日 16時17分25秒

多々良隊出撃前に、光基地にて壮行会が開かれました。
滅多に光基地に顔を出さなかった第6艦隊所属第一特別基地隊司令官・長井満少将までやってきたそうです。
上層部の激励の言葉の後、乾杯。
横田兵曹も調子に乗ってぐいぐい飲みます。
橋口中尉が「海ゆかばをやろう」と言い出し、みんなが歌ってくれたそうです。
(「橋口中尉」というのは、柿崎中尉と同期の橋口寛中尉? 終戦直後、自分の乗るはずだった回天のそば(中?)で自決)

そのあとも壮行会は続き、横田兵曹もさらに飲まされます。

そのうち、みんなで回天節。
『気がつくと、隊長、前田中尉、古川兵曹がスクラムの中にはいって、回天節をいっしょに歌っている。ふらつく足で、私もその中にはいっていった。』

ドン亀節、九軍神の歌、はては炭坑節(?)。

2200、多々良隊の万歳三唱をもって散会。
柿崎隊長と前田中尉はそこからさらに士官個室に引っ張って行かれたとか。

横田兵曹と新海兵曹は気分が悪くなり、動くこともできなくなっていました。
『「おい、水でも飲みてえなあ」
新海がまっかな顔で話しかけてくる。
「しっかりしろ! なんだ、一パイや二ハイの酒に負けて、それでふたりで空母二ハイなんて、ブッつぶせるか!」
だれかが肩をたたきながら、大きな声でいう。見ると、神津少尉だ。
「もうだめです。部屋までつれていってください」
新海が情けない声を出して、哀願している。
「だらしのないやつだなあ。ふたりとも、立てっ!」
いつもはおとなしい神津少尉が、珍しく大きな声を出している。大の男ふたりでは、さすがに処理に困るだろう。が、とにかく、ふたりとも神津少尉の両手にすがって自室までつれてきてもらった。』
もちろん、横田兵曹はその後のことは何も覚えていないそうです。

そして、翌日、案の定の二日酔い状態。
しかし、二日酔いなんていっていられません。その日もやらなければならないことがたくさんあったのです。魚雷搭載の立ち合い、身の回りの整理、酒保物品の受給・・・・。
まず、同室の3人(新海兵曹、山口兵曹、古川兵曹?)を叩き起しておいてから、隊長の部屋に向かいました。

『部屋にはいって、思わずふき出してしまう。せまっくるしい一つのベッドで、隊長と前田中尉が、ヒゲ面をつき合わせて、まるで新婚の夫婦のように抱き合って寝ている。
ふたりとも、さすがに上衣だけはぬいで、他のベッドの上に放り投げてある。隊長のボウボウ頭がやけくそみたいに乱れ、まさに異様である。おまけに、搭乗靴の片っ方をはいたままで、ベッドからニュッと突き出している。前田中尉は、左手でそんな隊長の頭をかかえるようにしていて、気持ちよさそうにイビキをかいている』

前夜の「士官個室」での宴会とやらのすさまじさが想像できそうです。

『「隊長! 前田中尉! もう朝ですよ」
二、三度声をかけると、隊長が目をあけた。しばらく口をとんがらせて、ボンヤリしていたが、私と視線があうと、まっ白な歯を見せてニヤッと笑った。』

酔っ払った上の同衾ですが、お二人、どのような夢を見ていたのでしょう・・・・。