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山岸教員の日記52014年08月13日 09時51分59秒

2月8日
練習生に特種飛行単独を許す
四人共無事終了


飛行の記号以外原文まま。
以下同じ。



2月10日
雪の為に飛行なし 別科に練習生を使かって落下傘を畳む 五時頃までかかった


2月12日
夜間飛行中風向変化甚だしきため取止めらる


2月13日
夜間飛行無事に了る



2月14日
今日も夜間飛行だ 一回目に残った練習生を乗せんがため 
けれども今日も天候の碍害降雨のため一回目終了にて取止めらる



2月15日
練公の編隊の進歩なかなか良し
まだ始めて間もないが四人共斉一に上達して居る



2月20日
飛行場が悪るいので午後訓練が行なはれた ○隊の進歩極めて良好
なんだが自分のことの様に嬉しい




山岸教員
善行章1線(16年5月31日まで)
階級章・2空曹(16年4月30日まで)
教員の腕章(たぶん)
などから、飛練10期(15年12月~16年5月)に教えていたころかも?(^^;)

※画像はご遺族ご提供

山岸教員の日記62014年08月13日 11時22分32秒

山岸教員の日記で思わず泣いちゃったのはこの日の記述です。


2月24日
試験的に二三の練習生に単独が許された
内の高島も其の一人 概ね良好に出来た 他の三人も大体よろしい 飛行了っての注意があまり利き過ぎて清水が泣き出して了った 若くして感激性に富む彼等なのだ 一生懸命なので遂に言い過ぎをしたのだ 彼の涙こそ誠に男の涙なのだ 俺は清水の涙を見て非情な喜を覚へた たまらない愛着の情の込上ぐるを禁じ得なかった
飛行手袋にて彼の涙を拭ってやろうとした 彼ははっとし向かへった そして又さめざめと泣いて居た 愛の力のなんと偉大なことであろうか 大の男でさへも自由に泣かし又喜ばしむることが出来るのだ 人生は愛に始まり愛に了る 愛なき人生は空虚にして寂寞である 私は人生を生かすため一層の愛の必要なるを痛感する



何と言いますか・・・・
このシーンが映画のワンシーンのように再現されてしまって、思わず清水さんと一緒に泣いちゃいました。
いや、山岸教員の立場になって泣いちゃったのかな。



まず、「内の高島」は、のちに中攻操縦に進んだ高島巌さん。
おそらく練習生40数名のうちの2、3人が試験的に単独を許され、その中に自分の担当の高島さんが入っていた、という記述なのでしょう。


大体よろしい「他の三人」が具体的に誰かわかりません。
ペア写真からすると大石芳男さん、阿部健市さん、上原定夫さん、なんですが、阿部さんの回想によると大石さんは一時的にペアに組み入れられただけのようだし、このあと清水さんのお名前が出てくるので、もしかしたら三人は、清水、阿部、上原かもしれません。

自分の担当以外の練習生を、飛行訓練後に注意するというのはちょっと考えづらい気もするので。


注意が利き過ぎちゃって泣き出した「清水」は、清水日出夫さんだと思われます。
予科練時代※9期生ご遺族ご提供


わたしはいつも立ち位置が9期生側なのですが、こうして教員側から9期生(飛練10期)を見つめてみるのも興味深いです。

彼らを殺さぬよう、ちゃんと一人前の搭乗員に育てようと、こんなにも愛をもって操縦を教えてくれていたのだ――と。


特に山岸さんは乙6期の出身なので、9期生は予科練の後輩です(同時期には在隊していない)。
教員として”雲の上”みたいな立場から教えていたのではなく、兄貴みたいな気持ちで操縦を教えてくれていたんじゃないかな?