ひねもすのたりのたりのたり

ママはときどき、「自分の興味の対象外」のような本を買ってしまうときがあります。

しかし、まったく対象外なら買わないわけで、興味の対象に多少かすっているとき、買ってしまいます。

光人社NF文庫の戦記。水上機搭乗員の手記を買って読んだことがありました。
ただ「水上機」なだけなら、ママはよくわからないので買わなかったでしょうが、タイトルの『予科練の空』ってのに惹かれて買ってしまいました。そうです、「予科練」ってことばに惹かれて買ったのです。
しかも、著者は「乙９期」。
台南空で言えば新井正美、後藤龍助、木村裕、遠藤桝秋、羽藤一志、熊谷賢一、鈴木松巳、久米武男、上原定夫、大西要四三、中野鈔、佐藤昇、山口浜茂、森浦東洋男・・・・の各３飛曹・・・・。
（すいません、不公平なので全部書きました。書き漏らし、ないですかね？）

「おおっ！！　かれらの同期生か！」
そう思って、水上機乗りの本間猛氏の手記を買ったのです。

興味がない、と言っても、読んでしまえば関心が沸くもの。
飛行艇とか水偵、彩雲といろんな機種を経験されていて体験記そのものもおもしろかったです。

この本、最後の章が「予科練の熱き日日」。
予科練時代の思い出話満載なのですが、当然、「罰直」の話も・・・・。
９期の教員にHという罰直狂がいたらしいのです（手記には実名で書いてある）。
通信の成績が悪いといっては罰直、吊床のくくり方が悪いといっては罰直、被服の整頓が悪いといっては罰直、靴の手入れが悪いといっては罰直・・・・と、この人の罰直のない日はない、というぐらいひどかったらしいのです。
「H教班の連中はかわいそうだな」
と他班のものが漏らすほどだったとか（もちろん、他の班にだって罰直はあるのです）
このH教員がどんな罰直をしたのか、具体的に詳しく書いてあるのですが、省きます。とにかく目に余る罰直ぶりで、いつしか上官の知るところとなって、転勤していったそうです。

このH班に、あの台南空の羽藤一志兵曹も所属していたんだとか。

予科練時代の彼は、「温和な優男」で、戦闘機に行ったと聞いて、級友達は驚いたそうです。

高城肇さんが語るところによると、かれは、複雑な家庭環境だったらしいですね・・・・。

幼い頃から色々経験して、他人対する思いやりが育っていたのかもしれません。
もともと我慢強い性格だったのかもしれません。

H教員の罰直にも辛抱強く耐えたのでしょう。

９期の中ではトップの撃墜数を誇る羽藤兵曹の予科練時代、あまり楽しい予科練時代ではなかったようです。