ひねもすのたりのたりのたり

なんか、すごくショッキングなタイトルですが、ホリブンが衝突したのは「吹き流しの紐」です(^_^;)。

衝突、ではなく、翼に引っかけた、ってのが正確なところです。

昭和１６年（か１７年初）、ホリブン”自称”１９歳。
（ホリブン、大正１０年３月生まれ。昭和１６年（か１７年初）ならハタチじゃないのかと突っ込みたいところ　ヘ(^o^)/）

場所は大分空。

９６戦での実用機訓練中。

ホリブンは当時、『飛行機が曲がりなりにも自分の思うように動くようになった、と大それたうぬぼれを持つように』なっていたそうです。

曳的機に吹き流しを引いてもらいながらの後上方射撃訓練。
この吹き流しに訓練用の弾を撃ち込むのです。

訓練の最中、
「今日はいつもよりもう少し近づいてから引き起こし、避退操作をしてみよう」
とよからぬことを考えたそうです。

見る見るうちに吹き流しの形が変わってきて（たぶん、接近しすぎたため）、そのことにびっくりしてしまったホリブン。
手記を読む限り、この間、動揺しまくってしまったためか、ホリブンは吹き流しを撃った様子はありません。回避だけで精一杯だったのか？

びっくりしながらも引き起こし、何とか吹き流しとはぶつからなかったものの、一緒に飛んでいた教員に、
「飛行場に戻れ」
と合図され、初めて異常事態に気づきます。

指されて見ると、左翼から油が噴き出していました。

着陸して点検したところ、左翼前縁が曳航索で大きく切られ、そこに引きちぎられた索がぶら下がっていたんだとか。

ホリブン、真っ青　（（（((((・・;)

わー、飛行機、壊しちゃったー。

下で見ていた教員たちによると、ホリブンは吹き流しの尻をうまくかわして下に潜り込んだものの、そのあと、引き起こすときに索の軸線を外さないまま引き起こして、左翼に引っかけてしまったらしいのです。

飛行機を壊した罰に、ホリブンはその日の訓練が終わるまで、指揮所前の吹き流しの下に立たされたそうです。

立たされはしたものの、ホリブン、あまり反省している様子はありません。
吹き流しの下に潜り込んだことに対しては自画自賛。

実際、それぐらい接近してから撃たないと当たらないんだそうで、受け持ち教員からも「いい勉強だよ」と言われたそう。たいして叱られなかったようです。

それどころか、
「下方に潜り込んだことについては、誰からも文句は言われない。同期の者もまだ誰もやっていない。しかし教員の許可が出た」

同期生中で一番に下方からの射撃訓練に入れたことに、ホリブン、得意げです。

『このようにして射撃要領を会得することができ、実弾射撃に入ってからはほとんど毎回命中弾を得ることができた』
そうです。

怪我の功名ってやつですか。

撃墜王の若き日の一コマでした(^_^)。