金井兵曹の日記1 ― 2008年01月18日 09時58分10秒

以前、森史朗さんの『運命の夜明け 真珠湾攻撃 全真相』でその一部を読んだ金井昇兵曹の日記。
ずっと、全文を読んでみたい、と思っていたのですが、出典がわからず諦めていました。
ところが、最近になってその日記が『航空母艦蒼龍の記録』元木茂男 に掲載されているのではないかと気づき、戦史研究家の神野正美さんのご協力を得て、金井兵曹の日記部分を入手することができました。ありがとうございます。
昭和16年11月中頃から、十二月八日まで、とびとびの日記です。
戦争中、雑誌「キング」に掲載されて広く読まれたそうです。
以下にちょっと抜粋します(本文はカタカナ交じり文。読みやすいようにママが改変しています)。真珠湾攻撃前日、昭和16年12月7日の日記です。
―略―
晴れの攻撃、皇国の興廃を決する重大なる攻撃を前にして、準備は既に十二分に整いたり。即ち、今迄航海中は毎日布哇(ハワイ)攻略に対する、研究会が搭乗員室において開かれ、われわれ搭乗員は普通の演習より以上に、攻撃について種々知り得て今や何事の不安も疑心もない。
既に諜報等により敵艦の碇泊位置、数、艦名まで知り得たので、他方又自分個人としての心構え、職務に対する為し得る限りの準備も十分終わり我が愛機の座席には八幡宮のお札を安置し、単冠(ヒトカップ)湾出港以来毎日拝しつつ、「鴻毛の軽き我が身はいかになりますとも必ず投下する爆弾が是が非でも命中させてください」、必ず真心こめてお祈りした。
飛行長も「長い間飛行出来ないので勘が狂いはしないか」と非常に心配して居られた。飛行長にいわれるまでもなく、これは自分が一番気掛かりになって居る事柄である。
仕方が無いので幾分の足しになると信じて、毎日座席内に入り照準器を覗く事にした。なるべく実感の出る様にと思って飛行服を着け、伝声管を着け、空中で照準するときの気持になって照準投下の練習をした。馬鹿らしいようにも見えるが真剣だ。
艦内で出来得る事はその他すべてやった。為し得る事はいかに小さい事といえども皆終わったはずだ。自分は尽くすべきを完全に尽くしたのだ、これ以上いかんとも為し得ざるのだとの確信あり。あとは明日最善を尽くしてやるのみなり。
―略―
金井兵曹の純粋、かつ、まじめな性格がよく出ている日記だと思います。
隠密行動でハワイに向かっている航海なので、搭乗員たちは飛行機を飛ばして訓練するわけにはいきません。
勘が少しでも鈍らないように、金井兵曹は飛行服を着て愛機の偵察席に乗り込み、実戦さながらの爆撃投下練習を続けていました。
この姿は同じ艦攻隊の同僚にも目撃されています。
本人は「馬鹿らしいようにも見えるが」と言っていますが、金井兵曹のこの姿を見て、「馬鹿らしい」と思った人は一人もいなかったはずです。
全員が「やるべきことはすべてやった」という状態で臨んだのが真珠湾攻撃ではなかったかと思うのです。
戦争中に軍人さんが書いた文章ですが、いまの時代にも心に迫ってくるものがあるなあ・・・・と思いながら読みました。 つづく
ずっと、全文を読んでみたい、と思っていたのですが、出典がわからず諦めていました。
ところが、最近になってその日記が『航空母艦蒼龍の記録』元木茂男 に掲載されているのではないかと気づき、戦史研究家の神野正美さんのご協力を得て、金井兵曹の日記部分を入手することができました。ありがとうございます。
昭和16年11月中頃から、十二月八日まで、とびとびの日記です。
戦争中、雑誌「キング」に掲載されて広く読まれたそうです。
以下にちょっと抜粋します(本文はカタカナ交じり文。読みやすいようにママが改変しています)。真珠湾攻撃前日、昭和16年12月7日の日記です。
―略―
晴れの攻撃、皇国の興廃を決する重大なる攻撃を前にして、準備は既に十二分に整いたり。即ち、今迄航海中は毎日布哇(ハワイ)攻略に対する、研究会が搭乗員室において開かれ、われわれ搭乗員は普通の演習より以上に、攻撃について種々知り得て今や何事の不安も疑心もない。
既に諜報等により敵艦の碇泊位置、数、艦名まで知り得たので、他方又自分個人としての心構え、職務に対する為し得る限りの準備も十分終わり我が愛機の座席には八幡宮のお札を安置し、単冠(ヒトカップ)湾出港以来毎日拝しつつ、「鴻毛の軽き我が身はいかになりますとも必ず投下する爆弾が是が非でも命中させてください」、必ず真心こめてお祈りした。
飛行長も「長い間飛行出来ないので勘が狂いはしないか」と非常に心配して居られた。飛行長にいわれるまでもなく、これは自分が一番気掛かりになって居る事柄である。
仕方が無いので幾分の足しになると信じて、毎日座席内に入り照準器を覗く事にした。なるべく実感の出る様にと思って飛行服を着け、伝声管を着け、空中で照準するときの気持になって照準投下の練習をした。馬鹿らしいようにも見えるが真剣だ。
艦内で出来得る事はその他すべてやった。為し得る事はいかに小さい事といえども皆終わったはずだ。自分は尽くすべきを完全に尽くしたのだ、これ以上いかんとも為し得ざるのだとの確信あり。あとは明日最善を尽くしてやるのみなり。
―略―
金井兵曹の純粋、かつ、まじめな性格がよく出ている日記だと思います。
隠密行動でハワイに向かっている航海なので、搭乗員たちは飛行機を飛ばして訓練するわけにはいきません。
勘が少しでも鈍らないように、金井兵曹は飛行服を着て愛機の偵察席に乗り込み、実戦さながらの爆撃投下練習を続けていました。
この姿は同じ艦攻隊の同僚にも目撃されています。
本人は「馬鹿らしいようにも見えるが」と言っていますが、金井兵曹のこの姿を見て、「馬鹿らしい」と思った人は一人もいなかったはずです。
全員が「やるべきことはすべてやった」という状態で臨んだのが真珠湾攻撃ではなかったかと思うのです。
戦争中に軍人さんが書いた文章ですが、いまの時代にも心に迫ってくるものがあるなあ・・・・と思いながら読みました。 つづく
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