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大空のサムライ―中堅編―2 西澤さんの初空戦2010年01月30日 12時05分11秒

台南空士官搭乗員
石川清治「ポートモレスビー空爆行」から

千歳空戦闘機隊が進出したラバウルには、当時、一晩おきに敵飛行艇が爆撃にやってきていました。
来る日が決まっているので、戦闘機隊員たちはそのつもりで待ちかまえていました。


『腕に覚えのある連中は、黒板の前に集まって分隊長の河合大尉に「私を私を!」と盛んに注文するが、分隊長は、「そんなに一ぺんには上がれんよ、まず俺が上がる」と言って河の字を丸で囲んだ。次に西の上に○印を附された。西沢二飛曹だ』

夜の飛行場で待っていると、この日もやはりやってきました。ブーンブーンと蚊の鳴くような爆音が。


『「来た来た! 分隊長来ました」
と呼ぶが返事がない。
「分隊長、分隊長!」と大声で叫ぶと、指揮所――指揮所といっても携帯天幕を張っただけのものだが――の裏の草藪の中で、
「今野糞しているんだ。西沢先に上がれ」と落ち着いたものだ。西沢二飛曹、喜ぶまいことか一目散にかけて行き、飛行機に跳び乗り離陸していった。しかし暗夜のためか容易に敵機が捕捉できずに降着(夜間空戦は単座機では無理、訓練もしていなかった)』

その後、河合大尉も上がりますが、撃墜に至らず。

このシーン↑もとってもマンガにしたい衝動に駆られましたが、憧れの河合大尉が野○をしているシーンはやっぱりどうしても描けないっ!!(>_<)と思ったので、泣く泣く諦めました。



17年2月3日の千歳空行動調書
「2035 発進 来襲セル敵飛行機5機ニ対シ空戦其ノ一機ヲ撃墜 外一機ニ有効弾ヲ得タルモ撃墜スルニ至ラズ 撃退セリ 2210 帰着」

大尉 河合四郎   警報ニ依リテ邀撃之ヲ撃退 右(左?)翼燃料タンクヨリ燃料相当漏出スルモ撃墜ニ至ラズ

1飛曹 西澤廣義  警報ニ依リ邀撃之ヲ撃墜

もう1人、加藤敬次郎飛曹長が上がっているようですが、「敵ヲ見ズ」。

「2035」はたぶん最初の西澤さんが上がった時間、その後、河合大尉が上がって、3人目の加藤飛曹長が戻ってきた時間が「2210」ってことでしょうか。


東京のKMさんにいただいた「THE DEVIL JAPAN'S ACE OF ACES」という英文の西澤さん特集記事(深井さん訳)みたいなのによると、このときの敵機はポートモレスビーから飛んできたオーストラリア空軍のコンソリティッドカタリナ飛行艇。
西澤さんに攻撃されたカタリナは片方のエンジンを破壊されたもののモレスビーに戻ってきた、ということです。
(河合大尉に破壊された飛行艇の可能性もあると思うのですが・・・・)

その場にいたはずの石川さんも西澤さんの邀撃に関して、「暗夜のためか容易に敵機が捕捉できずに降着」と書いているので、西澤さんは戻ってきてからの報告時に「撃墜に至らず」と報告していたのではないかとも想像します。

それがどうして「之ヲ撃墜」(行動調書)という記載になったのか・・・・

行動調書の記載を信じれば、この日が西澤さんの記念すべき初(夜間)空戦にして初撃墜なんですけどねー。