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遠藤桝秋3飛曹2009年02月19日 21時39分34秒

坂井さんの『大空のサムライ』に、こんな話が出てきます。

『本田2飛曹を失った私は、彼の代わりとして遠藤桝秋3飛曹をもらいうけた・・・・』
本田2飛曹とは、本田敏秋2飛曹のこと。どうも、坂井さんが弟のようにかわいがっていた列機らしいです。
そのかれは、17年5月13日、半田亘飛曹長指揮のモレスビー攻撃で自爆戦死してしまいました。
坂井さんによると、本田兵曹はこの日、半田飛曹長の列機としての出撃に気乗り薄だったようですが、坂井さんが「頑張ってこい」と背中を押して行かせてしまったんだとか。

で、本田兵曹は、戻ってこなかった、と・・・・。

『明くる5月14日、本田の弔い合戦の日だ。・・・・指揮官は笹井中尉だった。』
モレスビーの飛行場上空で会敵します。
『私は2番機の遠藤、3番機の羽藤に、手信号で後上方へ行けと合図し・・・・』
坂井さん敵機と交戦します。狙いを定めた敵機と格闘戦です。
『・・・・私はちらりと後上方を振り返った。2番機の遠藤がぴったりと私の後ろにくっついている。それで出発前に遠藤に言ったことを思い出した。
「遠藤、貴様は、今日がおれとの初出撃だから、何かプレゼントをやろう。もしも今日の空戦が非常に暇だったら、適当な獲物を、おれが若干いためてから貴様に渡すから、貴様はそれをぬかりなく落とせ。いいか、そのつもりで油断なく俺についてくるんだぞ」』
このあと、約束通り、坂井さんは逃げ回る敵機追撃を遠藤兵曹にバトンタッチします。
遠藤兵曹は巴戦をやりながら、何度も敵機を銃撃したそうですがなかなか当たらず、落とせなかったそう。グルグルやるうちにだんだん高度も下がってきて・・・・。
『遠藤はそれも忘れて、もう夢中だ。
「もう危ない! やめろ!」と怒鳴りたいのだが、怒鳴ったって聞こえるはずもないし、こうなったらしかたがないので私も一生懸命に上空を警戒しながらついていった。』
遠藤兵曹は夢中になるあまり1000メートルまで下がってしまいました。
高度は下がってしまっているけれど、遠藤兵曹の絶対優位は変わらず、その点だけは安心して見ていられたそうですが。
とうとうジャングルすれすれまで降りていき、敵機は梢すれすれに逃げようとしました。
そこを見逃さずに遠藤兵曹が一撃を加え(坂井さんは、「よくぞ弾を持っていた」と感心したそうです)、見事、一機撃墜\(^O^)/

敵機に夢中になっていた遠藤兵曹は初めて自分がどんなところにいるのか気づいたらしく、慌てて上昇を始めます。
そして、後ろからついてくる飛行機の気配に殺気でも感じたのか、急に全速力で逃げ始めます。
(坂井さん、実は激怒オーラを発しながら見守っていたのでは?(^_^;))

坂井さんも慌てて追いかけ、彼から見える位置に行き、飛行機の日の丸を見せ、やっと味方機だと気づいてもらえたんだとか。
『途中、彼と翼を並べながら、私は風防を開いて、「顔を見せろ」と合図すると、彼も風防を開いて顔を出した。その顔の何と深刻なことよ、精も根も尽き果てたというような表情だ。私が「どうだったか」という素振りをして見せたら、彼は下を指さしながら、「どうやら落ちたらしい」という身振りをする。「よかった、よかった」と私が喜んでやると、彼は初めてニッコリ笑った』

『着陸してから、私は思い出したように遠藤を呼んだ。そして、今日の空戦の模様を聞いてみた。
「貴様はあの飛行機を落としたと思うか、落とさなかったと思うか」
遠藤3飛曹は、ちょっと考えるようにしていたが、
「はい、最後の一撃で、たしかにジャングルに突っ込みました。・・・・たしかに落ちたのを見ました」と確信ありげに答えた。
「よし、それはわかった。それでは敵の機種は何だ?」
この質問に対しては、全然覚えていない。
「とにかく、味方ではありません。なんだか真っ黒いような飛行機と取っ組み合いやって落としました」と答えるだけである。これには私も苦笑した。
「それでは双発の飛行機だったか、それとも単発の戦闘機だったか」』
坂井さんの意地悪い質問はまだまだ続きます。高度は?場所は?

いぢわるな先輩・坂井先任にいたぶられた遠藤兵曹ですが、
「おかげさまで1機落とさしてもらいました。こんな嬉しいことはありません。初めて飛行機乗りになった日よりも、今日の方が嬉しいです」
と、無邪気に喜ぶのでありました(^o^)。

海軍戦闘機隊のエース列伝にも名前を連ねる遠藤桝秋兵曹(乙9期)の若鷲時代のウブな姿・・・・。
と、微笑ましくなるのですが、なんか、この話、あやしいんですよねー。・・・・というわけで、続く。

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